ヒコーキやクルマのプラモでは、キャノピーやウインドガラス、ライトレンズなどのクリアーパーツのゲート(ランナ
ーが細くなってパーツにくっついている部分)やパーティングライン(射出成型のときに金型の分割によって生じるパー
ツの線)をキレイに処理することは、キットを製作する上で重要なテクニックです。でも、雑誌やネット上のキャラクタ
ーモデルの製作講座ではクリアーパーツの処理についてはあまり解説されていないようなので、今回はこれをテーマに取
り上げてみましょう。
○パーティング処理のできるパーツ、できないパーツ
プラモのクリアーパーツというのはポリスチレン(PS)製が多いです。材質がポリスチレンで見た目の透明度が高く、
テカテカのツヤがあっていかにも硬そうであり、実際に触ってみてもパーツがほとんどたわまないほど硬いのであればペ
ーパーがけやコンパウンド磨きができます。一方、同じポリスチレン製であっても透明度がいまひとつで、触ってみると
ちょっと軟らかい感じのするパーツ(例えばモビルスーツのサーベルのビーム部分や、少し古いゾイドのキャノピーなど)
はペーパーがけはできてもコンパウンド磨きでツヤを取り戻せない場合があるので、ゲートをきれいに切り離すだけにと
どめておいたほうがいいかもしれません。(ランナーがあるのなら事前にテストすることをお勧めします。)また、塩ビ
(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等の軟質樹脂はペーパーをかけるとケバ立ったりヤスリ跡
が消えなかったりするのでこの処理はできません。
○ゲートの切り離し
画像Aはゾイドネオブロックス・LBレッドホーンのクリアーパーツランナーです。右側のキャノピーのパーツをサン
プルに解説していきたいと思います。まず画像Bのようにランナーを少しだけ残してパーツをニッパーで切り離します。
このときゲートがパーツに付いている部分に余計な力がかからないように注意してそっと切り離してください。なぜゲー
トの部分から一気に切り離さないのかというと、ゲートの断面が四角の場合、ランナーからパーツを切り離すときにゲー
トの上下の面に対してニッパーの刃を斜めに入れなければならないことが多いので、切るときにゲートが刃に沿ってねじ
れてしまい、パーツとゲートの接続部分もねじれて痛んでしまう恐れがあるからです。(最悪の場合はパーツがゲートか
らねじ切れてしまいます。)
次は画像Cのようにゲートを少しだけ残して、付いていたランナー部分をニッパーで切り取ります。ランナー下側にカ
ッティングマットをしっかり密着させて、新しい刃のアートナイフなどよく切れるナイフで切る方法もありますが、とに
かく、このときもパーツとゲートの接続部分に余計な力がかからないように注意します。(画像の例の場合はニッパーを
パーツの真横から入れるようにしてゲートの上下の広いほうの面にニッパーの刃を沿わせてそっと切断しました。)
画像Dのように残ったゲートを新しい刃のアートナイフなどで少しずつ切り取っていきます。切り取り終わったのが画
像Eです。ゲートのすぐ下に見える線がパーティングライン。画像Eではゲートのあった部分手前半分が白くなっていま
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す。実はたまたま光の加減でそう見え
ているだけなのですが、切るときに無
理な力を入れたり、よく切れないナイ
フを使ったりするとちょうどこんなふ
うにゲート跡が白くなってしまうこと
があります。こうなると後でペーパー
をかけるときに白くなった部分を全て
削り落として修正するしかありません
ので、丁寧な作業を心がけましょう。 |
| D |
E |
 |
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○ゲート跡とパーティングラインのペーパーがけ
ゲート跡とパーティングラインを消すためにペーパーをかけます。今回は耐水ペーパーの#400番、#600番、
#1000番、#1500番、#2000番を今挙げた順番(=目の荒い順番)で使っています。ゲート跡やパーティン
グの凸凹が大きいときは耐水ペーパーをかける前に目の細かい金ヤスリを使うこともありますが、金ヤスリを使うと大き
なヤスリ傷を入れてしまいがちで、その傷を消すためのペーパーがけが大変になるのでできることなら使わないほうがい
いでしょう。反対に凸凹が小さければ#600番や#1000番のペーパーから始めてもかまいません。ヤスリがけが目
の細かいペーパーだけで済むならばそれに越したことはありません。
画像Fは最初に#400番のペーパーをかけているところです。耐水ペーパーを切ったものの裏面に当て物(画像では
ステンレス製の15センチ長の定規を使用)を当ててペーパーがけをしています。当て物を当ててペーパーがけをすると
平面の場合はきれいな平面が出しやすいですし、画像の例のような曲面のパーティングを消す場合はパーティングの部分
だけにペーパーを当てることができます。画像Gは#400番のペーパーでゲート跡とパーティングラインを消し終えた
状態。この例では次にかける#600番まで当て物を使ってペーパーがけをしました。また、ペーパーがけのときは前に
一段荒いペーパーをかけた部分(白く曇っている部分)は必ずもう一度ペーパーをかけます。こうしてペーパーがけによ
って生じている微細な傷を次第に浅くしていくわけです。そうやって作業していくと、ペーパーの番数が大きく細かい目
のペーパーになっていくほど自然とペーパーをかける面積が増えていくようになります。ただし、余計なところまでペー
パーをかける必要はないので、そういう部分はマスキングテープを貼ってあらかじめガードしておいてもよいかもしれま
せん。
今回の例ではパーティングのある部分を曲面で仕上げるため#1000番より後は当て物を使わずにパーツの曲面に合
わせて指先でペーパーを当てて作業していきました。#1500番、#2000番までかけたのが画像Hです。表面の曇
りは残っていますが、キレイでスベスベの曲面が形成されたのがわかると思います。なお、画像のペーパーがけ作業では
耐水ペーパーに水をつけていません。水を付けて作業したほうがキレイに仕上がる気がしますが、その一方で作業部分を
確認するときにペーパーをかけた部分の判別がしにくくなるという欠点があります。
○コンパウンド磨き
パーツにはまだ微細なヤスリ傷による曇りが残っていますので、模型用のコンパウンドをかけて透明な表面を取り戻し
ます。コンパウンドとは「研磨剤」であり、これを布に付けてパーツを磨くことで表面がピカピカになります。布のほう
にコンパウンド(チューブに入ったハミガキ状の製品が多い)を少量付け、画像Iのようにパーツをこすって磨いていき
ます。ペーパーがけした部分だけでなく、パーツ全体を磨いてしまってかまいません。かなり根気よく、強くこすって磨
く必要がありますが、ここで大事なのは「あまり強い力を入れすぎて、パーツを割ってしまわない」ように十分注意する
ことです。キャラクター物のプラモのクリアーパーツはスケール物に比べれば厚みがあるものが多いのですが、普通のポ
リスチレンパーツに比べて硬いので脆く割れやすいことには変わりありません。クリアーパーツは他のパーツと違って修
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理できませんから(接着はできます
が、割れた跡は二度と消せません)
せっかくここまで作業したパーツを
割ってしまって泣かないためにも、
クリアーパーツに変な力がかかって
いないか常に気を付けながら磨きを
おこなってください。画像Jのよう
にピカピカのツヤが戻るまで磨けれ
ば作業終了です。 |
| I |
J |
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※今回の作業で使用した工具
ゲートの切り取りに使ったアートナイフ。(オルファ製。画像のものは柄を塗装
してあります。)デザインナイフでもいいですが、刃は新しい良く切れるものを
使ってください。他に模型用のニッパーも使用。これも良く切れるものが望まし
いです。中央は使いやすい大きさに切った耐水ペーパー(画像は#400番)と
当て物に使ったステンレス定規。当て物は使いやすい大きさで硬いものなら木片
などでもかまいません。細かい作業ではタミヤの調色スティックの平たい部分も
当て物として使えます。 |
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タミヤのコンパウンド。カーモデルの研ぎ出しボディ仕上げのように「微細なキ
ズひとつも残さない!」というのでなければ、キャラクター物のクリアーパーツ
の磨きにはこれ一本で十分だと思います。(画像は旧製品ですが、現行の製品な
ら「細目」がこれに該当するようです。)目の細かさの異なるものを複数使う場
合は、ペーパーがけの順序と同じくまず荒いものから先に、後になるほど細かい
ものを使います。こだわる人は磨き布にメガネ用の拭き布を使ったりすると聞い
たことがありますが、私は古くなって着れなくなったTシャツを切って廃物利用。
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以上、星野のひとでした。
(H19.1.25 )
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