星野塾





 このテーマ、文章のみ2回の予定だったのですが、部屋の中を見回したら資料になりそうなものがいくつかありました
ので、その画像を見ながら前回、前々回の内容について少し補足説明をしてみたいと思います。

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 A
 まずはこれ(画像)。ウチにあるスケール対比確認
用フィギュアのみなさん(笑)。キット付属のおまけフ
ィギュアや飛行機用のフィギュアセットから立ちポーズ
のものを集めて、黒く塗ったボール紙の台をつけていま
す。左から1/35、1/48、1/72、1/100、
1/144。1/100はマスターグレードMSのどれか
についていたもの。1/144はガンダムEz8付属の
シロー・アマダ氏。右端のクルマ(おそらくパジェロ)
はNゲージの鉄道模型用(1/150)で1/144代
用品として使っています。
 さて、実際のモビルスーツに対して人間はどれくらいの大きさになるのか?1/144HGUCのパワード・ジムと いっしょに撮影するとこんな感じになります(画像)。意外と小さい。
  B   C   D
 つまり、モビルスーツ本来の大きさを感じさせたいと思うのなら、この感覚を念頭に置いて作業しなければならない、 ということです。例えば、足首に「胸のコックピットへの直通通話機、またはコックピットへ乗り降りするための昇降機 の作動スイッチが中にあるパネル」のスジ彫りや、その使い方が書かれた注意書きを追加したいのだが、その適切な位置 はどのあたりになるのだろう?と考えてみましょう。当然、地面スレスレのところやアーマーに隠れてしまって開けられ なくなるような場所にはないはずですし、手で開けるパネルですから実物があれば一辺は大きくても50cmくらいでし ょうか?注意書きは読みやすい場所に読みやすい大きさで書かれているはずです。どの位置に、どのくらいの大きさが適 切なのか、画像を見ながらちょっと想像してみてください。…1/144の模型ではかなり小さな、目立たない大きさ のものになるだろうということがわかると思います。この調子でモビルスーツ全体にパネルのスジ彫り追加や注意書きを したりすると…「なんか小さくて目立たないし、かえってヘンな感じになりそうだな。それならいっそ追加しないほうが スッキリしてきれいな完成品になるんじゃないか?」という判断もできるわけです。  では、今度は画像。1/144の機体に対して1/100のフィギュアを置いたものです。この大きさの対比で、先 ほどと同様にパネルや注意書きの追加を想像してみてください。1/144スケールどおりで考えた場合よりも、なんと なくまとまりが良くなる感じがしませんか?「1/100や1/144などの小スケールの場合は、追加ディテールや注 意書きはスケール計算値よりもやや大きめになる感じにしてやったほうがいい」というのは感覚的にはこういうことです。 「小スケールの模型では細かすぎるディテールはあえて追加せずにスッキリ仕上げる」のも「ややオーバースケールでも ディテール追加して『それらしさ』を増す」のも作る側の自由ですから、お好みの方法をとるのが良いのではないかと思 います。また、「マクロス」の1/72バルキリーや「レイズナー」の1/48SPTというように、スケールが大きく なっていくと(これらの例の場合、設定上の機体の大きさはモビルスーツよりも小さくなっていることにも注意)、こう いったディテールの追加はより効果的になっていく、というのは、同じように同スケールの人間の大きさと機体の大きさ を対比して想像していただければ容易におわかりいただけるでしょう。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 部品のエッジを立ててやった例です。画像
は1/72ゾイド・ネオブロックスの共通
フレームパーツ。左がキットそのままのもの
で、右がパーティング消しと同時にエッジを
立ててやったもの(サフ吹き済み)。オモチ
ャっぽさが薄れて精密感が増す感じ、します
でしょうか?部品の角部分のアールというの
は、部品の安全性や金型の製作を考えた場合
に必要になってくるものですが、最近はこういう部分が非常にシャープで、わざわざ追加で加工しなくても十分見映えの よいものが出来上がるキットが増えてきましたね。それから、使用する用途や部位を考えたときに「こんなところのエッ ジが立っているのは機能上おかしいのでは?」なんてこともあるので、なにがなんでもエッジを立てるべき!というわけ ではないことも付記しておきます。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 F
 おそらく「ウソ演出」の一例。1/144の300円ザクウ
ォーリアですが、装甲を鋳造風にして戦車的な感じにしたもの
です(画像)。で、なにが「おそらくウソ」な
のかというと、モビルスーツの装甲に鋳造材が使われている、
というところ。鋳造というのは熱してドロドロに溶かした金属
を鋳型(砂型)に流し込んで部材を成型する方法で、複雑な形
状のものが作れる反面、鍛造や圧延材のプレス加工の部材より
も成型されたものは重くて物性が弱い、という特徴があります。
「そんな弱いものを未来のハイテク兵器であるモビルスーツの、
しかも装甲に使うはずがなかろう」ということなのですが、実
際の戦車には鋳造で車体や砲塔が作られたものがあり、この場
合は「実在する兵器である戦車の外観イメージをそのままモビ
ルスーツに投影して兵器っぽさと重量感を演出しよう」という
目的があるわけですね。まあ、何十年か先には真空、無重力の
宇宙空間での鋳造が可能になって、重力による合金材料の
 G
混合の不均一さが生じない、現在の地上では混合不可能
な物質を混ぜ合わせた優れた物性の鋳造部材が製造でき
るかもしれないので、素人が「未来兵器の装甲に鋳造材
が使用されることは絶対にナイ!」とか言い切ってはイ
カンのでしょうけれど。実際の作業としては模型用のラ
ッカー系溶剤(クレオスのMr.うすめ液など)でプラ
パテ(タミヤパテなど)を溶いたものを筆でパーツに塗
っています。画像のものはただ塗っただけで鋳造肌を表
現していますが、溶きパテを塗ってから筆先でたたくと
いう方法もあります。その後の基本塗装はエアブラシに
て。また、筆で溶きパテを塗ると筆が傷むのでそのつも
りで作業してください。
 あと、#13、#14では触れませんでしたが、「実在感」を高める方法として、「汚し(=ウエザリング)」があり ます。機械ならば使えば汚れるだろうしキズも付くだろう、と。これを模型でも(主に塗装によって)表現してやること で「本物っぽさ」を出そうというものです。アニメロボットの場合は、実際に存在する機械の汚れ方をお手本に(航空機 や戦車などの写真や、身近なところでは建設機械や電車の車両も参考になります)やはりスケールを考えた上で、機体の 大きさに対して適切と思える大きさ(範囲や量)の汚しをほどこすわけです。模型の汚しというのは解説しようと思うと 本が1冊書けるくらい奥深いものなので、ここでは詳しく述べませんが、画像は「土っぽい汚し」「サビっぽい汚 し」の参考にはなるかと思います。ラッカー系塗料で基本塗装の後、エナメル系の茶色を汚すところに筆で塗り、エナメ ル溶剤を含ませた綿棒などで塗料を残し気味に拭き取っていく方法ですね。ものすごく簡単にいうと、「凹んだところに 汚れは溜まる」「雨などで汚れは上から下へと流れ落ちる」と言うのが基本です。「上から下へ…」というのは機械の動 きを考え合わせた場合、または無重力の宇宙用の場合はたぶん「ウソ」なのですが、落ち着いた感じにはまとまるので私 の過去の作品はウソをついてるものばっかりです(笑)。また、ヘンな表現ですが「たとえものすごくヘビーな汚しでも、 見たときに不快なキタナらしさを感じさせないようにする」というのも重要なことかもしれません。
 H  I
 以上、星野のひとでした。                                             (H18.10.27 )